「芸人」という言葉は、いつからこんなに定着したのか?
バラエティー番組には「お笑い」が不可欠です。
それを担当する人間の呼び名として、TV界では「芸人」の言葉が完全に定着しています。
歌手・アイドル・俳優・女優等と同列に「芸人」の立ち位置があるようにも思えます。
現在「芸人」が大きな話題になっていますが、そもそもいつから「お笑い」の人たちををひとくくりに「芸人」と呼ぶようになったのでしょうか?
そして「芸人」のほとんどは、本来漫才をするコンビです。
ひとりでお笑いをする「ピン芸人」の言葉もあります。
この「芸人」枠があふれまくって、ものすごい過当競争時代に入っていると感じます。
特段のお笑いファンではない私でも、たとえば顔写真を見せられたら何十組、いや百以上の名前を答えられるのではないかと思います。
そんな中、冠番組を持ったり番組にレギュラー出演したり出来ている「芸人」は、実に
狭き門を突破した、まさに選ばれし「精鋭中の精鋭」なのだろうと感じます。
80年代初頭に「漫才ブーム」と呼ばれる現象がありました。
「漫才」が「MANZAI」に変化しました。
しかし、「ブーム」と呼ばれながら、その時代の主役はツービート・B&B・紳助竜介・のりおよしお・ザぼんち、ぐらいであったと記憶しています。
(今いくよくるよ・オール阪神巨人・おぼんこぼん・星セントルイスなどが一緒にされる時もありますが、彼らはそれ以前からコンスタントに活躍していました)
いずれにしても、現在「芸人枠」に登場できるのは、片手で数えられるぐらいのごく少数だけ。
完全に「飽和状態」です。
ブームの去った(ブームにも乗れなかった)「芸人」はどんな生活をしているのだろう?などと余計なことまで考えてしまいます。
それが、現在話題の大問題の背景にもつながっているのではないか、と。
昔は「芸人」ではなく「漫才師」、一人であれば「漫談師」と呼んでいました。
師匠に弟子入りしてみっちり芸を叩き込まれ、世に出るに当たっては、落語家同様その名字や名前の一部を芸名にもらうパターンが見られました。
芸名も、「〇&〇」と呼ばれ「漫才師」であることが一目でわかるものが主体でした。
今は養成学校を経てデビューするのが多いようですから、「漫才師」よりタレント色の強い「芸人」の呼称が一般的になったのでしょう。
そんな「芸人」の出番は、ほとんどがバラエティー番組のひな壇コメントゲストか、ロケのメンバー。
「出世」して自分の番組を持ち、そのMCを務めることもありますが。
寄席番組がほとんどなくなったことで、「M-1グランプリ」といった特集番組ぐらいでしか漫才の出番はなく、それも若手の登竜門的な意味合いが強くて、「本職」であるはずの漫才そのものをTVで目にする機会はグッと減りました。
「芸人のMANZAI」は、「会話」(しゃべくり)によって笑いを生み出すのではなく、ただスピードとアクションとギャグを織り込むだけ。
その内容も、一方だけがボケて相方は相づちを打つだけ。
観客全体を包み込むのではなく、わかる人間だけウケればOK的な匂いも感じられて、笑いそのものが薄っぺらになった…と言ったら言い過ぎでしょうか。
そういう時代なんでしょうね…
ちなみに、個人的に現在一番のファンは…
海原の姓を受け継ぐ上方の名門「漫才師」、海原やすよ・ともこです。
オチのわかっている同じ画像でも、何度でも笑えます。